何もない空間に“感触”を生み出|NTTの新技術「超音波触感シンセサイザ」とは

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超音波触感シンセサイザ

XR(クロスリアリティ)や遠隔操作、医療分野など、リアルな「触感」の再現は長年の技術的課題でした。そんな中、NTTが2025年5月に発表した「超音波触感シンセサイザ」は、デバイスを装着せずに“何もない空間”に多彩な触り心地を生み出す画期的な技術として、テクノロジー業界で大きな注目を集めています。

目次

超音波触感シンセサイザの仕組み

1. 超音波の集束による非接触触覚

  • 超音波を空中の一点に集束させることで、皮膚に「力」を感じさせる焦点を作ります。
  • この焦点は非接触でありながら、ユーザーが実際に物体に触れているかのような感覚を生み出します。

2. 力強い触感を生み出す“回転”の発見

  • 従来の超音波触覚技術は、提示できる力が弱く、単調な感覚しか再現できませんでした。
  • NTTの研究により、超音波焦点を「5Hzで回転」させることで、感じられる力が従来比で最大20倍まで増強されることが判明。
  • 実験では、回転刺激は同じ周波数の単なる振動刺激より約6倍強い力を生み出すことが定量的に示されています。

3. 多彩な触感を生み出す“合成”技術

  • 人間の皮膚は、5Hz・30Hz・200Hzといった複数の周波数の振動に敏感に反応します。
  • 超音波触感シンセサイザは、これらの周波数の超音波刺激を自在に合成し、つるつる・さらさら・ざらざらといった多様な表面の質感を再現します。
  • 例えば、5Hzの回転で「触れている感覚」、30Hz・200Hzの合成で「表面の振動や粗さ感」を調整可能です。

技術の特長と従来技術との比較

特長NTT 超音波触感シンセサイザ従来の超音波触覚技術
デバイス装着不要必要な場合が多い
力の強さ最大20倍まで増強微弱で単調
触感のバリエーションつるつる・ざらざら等多彩単調、バリエーションが少ない
応用可能性XR、遠隔医療、ゲーム等限定的

応用分野と今後の展望

XR・メタバース体験の進化

  • ユーザーが手をかざすだけで、仮想空間内のオブジェクトに触れる感覚をリアルに再現でき、没入感が大幅に向上します。

遠隔医療・手術ロボット

  • 医師が遠隔地から手術ロボットを操作する際、現場の触感をリアルタイムでフィードバックすることで、手術の精度向上や新たな訓練手法が期待されます。

ゲームやエンターテインメント

  • コントローラーやVRデバイスなしで、空中での触感体験が可能となり、インタラクションの幅が広がります。

今後の課題・研究方向

  • さらなる触感の精緻な再現や、より強い力の提示、人間の脳が触感を知覚する仕組みの解明など、触覚インターフェースの進化が期待されています。

まとめ

NTTの「超音波触感シンセサイザ」は、デバイス不要・非接触で多彩な触感を空中に再現する世界初の技術です。XRや遠隔医療など、さまざまな分野での応用が期待されており、今後の触覚インターフェースの進化に大きなインパクトを与えることは間違いありません。

情報源:

  1. https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/05/13/250513b.html
  2. https://medicaltech-news.com/medical-support/6346/
  3. https://dempa-digital.com/article/659418
  4. https://www.fnn.jp/articles/-/871377
  5. https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2505/14/news137.html
超音波触感シンセサイザ

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